家庭用・業務用エアコンの種類や違い｜家庭用エアコンのおすすめメーカーも

エアコンは夏も冬も快適に過ごすために必要な空調機家電です。そんなエアコンにはさまざまな種類があることを知っていますか？エアコンは大きく分けると業務用と家庭用の2種類あり、どちらも多種多様な商品がラインナップされています。

業務用エアコンは、メーカーや専門業者に購入と設置を直接申し込みます。一方、家庭用エアコンは家電量販店やネット通販で簡単に購入可能です。どちらもエアコンの種類によって設置場所や効果が異なるので、購入前には十分な検討が必要です。

業務用・家庭用エアコンはそれぞれどんな特徴があるのでしょうか。この記事では業務用・家庭用エアコンの違いに加えて、ルームエアコンなど家庭用エアコンの選び方から家庭用エアコンのおすすめ11選まで、くわしくご紹介します。ぜひ、エアコン購入の参考にしてください。

業務用と家庭用エアコンの最大の違いは、冷暖房のパワーです。この他に挙げられる多くの違いを、一覧表にまとめました。

家電量販店に並んでいるエアコンは、すべて家庭用エアコンです。業務用エアコンは家電量販店やネット通販で扱っていることは非常に稀で、メーカーの認定店か業務用エアコン専門店で購入することになります。

業務用エアコンは広いオフィスや商業施設に設置されるエアコンです。「ビル用マルチエアコン」と「パッケージエアコン」の2タイプあり、どちらも高度な設置技術を必要とします。

面積が3000㎡以上ある大きな建物のためのエアコンです。非常に馬力があり、1つの室外機に複数の室内機を繋げられます。またビル用マルチエアコンは、繋ぐ室内機の容量が違うものであっても問題ないのが特徴です。他にも以下のようなメリットがあります。

• 部屋ごとに細かい空調制御ができる
• 配管・室内機・室外機設置の自由度が高い

ビル用マルチエアコンでは、使っている部屋にはエアコンを入れ、使っていない部屋はエアコンを止めておく使い方が可能です。

パッケージエアコンとは、店舗やオフィスに向いた業務用エアコンです。業務用エアコンをパッケージエアコンと呼ぶこともありますが、本来、パッケージエアコンは業務用エアコンの1つに分類されます。ビル用マルチエアコンより馬力が弱めである以外に、以下のような特徴があります。

• 室外機の種類によって繋げられる室内機の数が違う
• 同じ容量の室内機でないと繋げられない

またパッケージエアコンでは、ビル型マルチエアコンのように使っていない部屋だけエアコンを切っておく使い方はできません。

天井に埋め込んで設置する室内機で「天カセエアコン」とも呼ばれます。スペースが十分にない店舗やオフィスに適しています。天カセエアコンには4方向吹出のコンパクトタイプもあり、天井の面積にあまり余裕がない小規模店舗やオフィスなどにおすすめです。

また、天井カセット型は風の吹き出し方が4種類あり、それぞれの特徴は以下の一覧表の通りです。

このタイプのデメリットは、天井に穴を開ける必要があること・設置費用が高いこと・天井が高い部屋では使えないことの3点です。以下の記事では、天井埋め込み型について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

天井から吊り下げる形で取り付ける室内機です。部屋の雰囲気を妨げず、広い部屋でも使えるので非常に人気があります。そのメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】

• 遠くまで風が届くので、細長い部屋に適している
• 天井が高い部屋にも使える
• 天井に穴を開けずに設置できる

【デメリット】

• エアコンの真下や左右には風が行きにくい
• 配管に目隠しができない

なお、ダイキンでのみ取り扱っているエアコンには、吹き出し方向を2～4方向で選択できる「天吊自在形」もあります。

天井埋め込み型と同じように、天井に穴を開けて取り付けるタイプの室内機です。吸込口と吹出口が別々になっており、それぞれをダクト（管）で繋ぎます。室内機が目立たないので、おしゃれな雰囲気を大切にしたいお店におすすめです。

【メリット】

• 室内機が目立たない
• 部屋のレイアウトに合わせやすい
• 吸込口と吹出口のタイプを選べる

【デメリット】

• 天井に穴を開けないと設置できない
• 設置費用が高い
• メンテナンスが難しい

室内機本体を天井に埋め込み、見上げると吹出口のある面が見えるタイプの室内機です。デザイナー設計の建物やレストランでよく採用されています。室内ユニット1つに付き吹出口は4つまで取り付け可能です。

【メリット】

• レイアウトの自由度が高い
• 変形した間取りでも設置可能
• 拭出口のタイプを選べる

【デメリット】

• 他の形状に比べ設置費用が高い
• メンテナンスが難しい
• ダクトが特注になる場合がある

家庭用ルームエアコンと同じ見た目の室内機です。取り付け方法も家庭用と変わりません。しかし風量は家庭用の何倍もあります。そのメリット・デメリットは以下の通りです。

【メリット】

• サイズがコンパクトである
• お手入れしやすい
• 小さい部屋に向いている
• 設置費用が安い

【デメリット】

• 風はあまり遠くまで届かない
• 温度ムラが生じやすい

床に置くだけで設置できる手軽な室内機です。吹出口は大人の目線ぐらいの高さにあります。他のタイプの室内機より低い位置から風を出すので、天井の高い部屋を暖房するのにおすすめです。

【メリット】

• 足元に風を送れる
• 設置が簡単で、設置費用も安い
• お手入れが簡単

【デメリット】

• 部屋の有効スペースに室内機を設置する必要がある
• 配管に目隠しができない
• 温度にムラが生じる

以下の記事では床置きエアコンについて、さらに詳しく解説しています。

家庭用エアコンのタイプは以下の3つです。それぞれの特徴を表にまとめました。

天井近くの壁に室内機を取り付け、屋外に室外機を設置するタイプのエアコンです。室内機と室外機は冷媒が入った配管で繋がれます。電気代が安く部屋全体を冷暖房できるのがメリットです。

しかし、このタイプは本体価格が高く、別途工事費用が必要になります。店頭で表示されている価格は本体のみの場合と、工事代+本体の場合があるので確認しましょう。

本体を窓枠にはめ込んで設置するタイプのエアコンで、室外機がありません。そのため低価格で、設置・取り外しに業者による工事が要らないのが特徴です。壁にエアコンを設置するスペースがない部屋で重宝します。

手軽に導入しやすいのですが、他のタイプのエアコンより電気代が高くつくのがデメリットです。また窓からの光を遮る・音が大きい・部屋全体を冷暖房する力が弱い・お手入れが大変などの理由から、あまり導入されていません。

工事不要で、本体を床に置くだけで設置できる手軽なエアコンです。屋内だけでなく屋外でも使えます。こちらも窓用エアコン同様、室外機がありません。

しかし床置きタイプはパワーが弱く、部屋全体を冷暖房するのは難しいのが事実です。このタイプはデスク周りだけなど、空調したい範囲が限定される場合に導入することをおすすめします。

家庭用エアコンは何畳用見分け方を把握して、部屋の広さに合ったものを選びましょう。対応する部屋の広さは「畳数」で明記されています。ただし、エアコンは冷暖と暖房で対応畳数が異なるので注意が必要です。

また、エアコンの効きやすさ（効率）は、部屋や建物の仕様（和室、鉄筋等）でも異なります。

エアコンの効率に大きく影響するのは部屋の気密性です。気密性の低い木造では対応畳数が少なく、逆に気密性の高い鉄筋では対応畳数が多くなります。エアコンの畳数は「畳数の目安：6～8畳」と表記されますが、これは「木造なら6畳、鉄筋なら8畳に対応する」という意味です。

しかし近年の家庭用エアコンは、木造を前提に畳数を記載する商品がほとんどになっています。記載されている畳数が1つしかない場合は、「木造の場合に有効な畳数」と考えてください。

エアコンは部屋の状況によっても効率が変わります。購入前には以下に挙げる点を確認しておきましょう。

• 大きい窓の有無
• 窓の数
• 断熱材の厚さ
• 日当たりの状況

日当たりがいい部屋は冷房にパワーが必要なので、部屋の大きさより広い畳数のエアコンが必要になります。また窓が大きい、断熱材が薄い場合は暖房機能が優れたエアコンが必要です。

エアコンのメーカーは、搭載機能の数でモデルを分けて商品をラインナップしています。エアコンは多機能であるほど高額になるので、モデルから絞り込むのもいい方法です。

• ハイエンドモデル・・・便利機能を最大限搭載したモデル
• ミドルレンジモデル・・・便利機能を厳選して価格と便利さのバランスを取ったモデル
• ベーシックモデル・・・便利機能を必要最低限に絞った低価格モデル

対応畳数が同じエアコンでも値段が10,000円程度違うのは、省エネ性と搭載機能の数のためです。

エアコンはその部屋の用途に合った出力のものを選びましょう。一般家庭の部屋別に必要な出力は以下の通りです。

• リビング・・・3.0kw以上
• 寝室、子供部屋・・・2.0kw以上

キッチンやキッチンリビングで使うエアコンは、なるべく高出力の商品を選んでください。畳数で言うなら「実際の部屋の畳数+4畳」です。キッチンは火を使いますので、相当なパワーがないと夏場に冷房が効きません。

除湿機能があれば、室内の湿度を下げられます。梅雨の時期のように暑くはないけれど、湿度だけを下げたいときに便利な機能です。冬は逆に室内が乾燥しがちですが、一部のエアコンには暖房とともに加湿できる機能を備えたモデルもあるので、加湿機能にも注目してみましょう。

イオン機能とは、パナソニックの「ナノイー」やシャープの「プラズマクラスター」で知られるものです。エアコンから放出する風とともにイオンを放出し、室内の温度を調整しながらイヤな臭いを抑えたり、菌・カビ・ウイルスの働きを抑えたりする効果が期待できます。

年々進化するエアコンは、省エネ性能も進化しています。新しいエアコンほど消費電力を抑えられるので、電気代の節約が期待できます。先述のように、高価なハイエンドモデルは購入費用が高くはなりますが、その分省エネ性能が優れているため、安いモデルよりも電気代を抑えやすくなります。

エアコンの効きは、冷暖房能力に関わります。スペックでは「kW」という消費電力量で示されますが、この数値が高いほどパワーが大きく、電源を入れてからスピーディーに室温を調整できます。寒冷地で暖房器具としてエアコンを使う場合は、より強力な暖房能力を持つ寒冷地エアコンがおすすめです。

エアコンには室温を感知するセンサーが搭載されており、設定温度や自動的に快適な温度で運転を行います。一部のエアコンには、さらに詳細に室内の状況を感知する人感センサー・照度センサー・湿度センサーなども搭載されています。

これらのセンサーで室内の状況を感知することで、より快適な室温になります。

タイマー機能は、ほとんどのエアコンに搭載されている機能です。切タイマーを設定しておけば、就寝時や外出時のつけっぱなしを防止できます。また、帰宅時に合わせて入タイマーを設定しておくと、帰宅時には快適な室温になっているのでたいへん便利です。

近年増えているのが、スマホ対応のエアコンです。専用アプリでスマホと接続することにより、自宅はもちろん、外出先でもエアコンの操作ができるようになります。また、スマホアプリからエアコンを設置した部屋の室温や動作状況も確認でき、帰宅に合わせて電源を入れておけます。

エアコンメーカーとして知名度・信頼性ともに高い評価を得ているダイキン。加湿に給水がいらない「無給水加湿」や、空気清浄機能の「ストリーマ」、暖房の立ち上がりが早い「ヒートブースト制御」などを搭載したモデルが有名です。

屋外の空気を取り込んで換気する冷暖房モデルも。このモデルのメリットは換気機能だけでも使用できるので、新鮮な空気を取り込めること。また、ダイキンのエアコンは、寒冷地専用で高い暖房力を誇る「スゴ暖」シリーズも人気です。

パナソニックの人気エアコンモデルである「Eolia（エオリア）」シリーズ。部屋の冷暖房機能はもちろん、新「ナノイーX」、「ナノイーX内部クリーン」機能で空気清浄効果にもこだわっているのが魅力です。新「ナノイーX」は、毎秒48兆個のOHラジカルを生成可能。そのため、カビ・アレル物質・花粉・たばこ臭を抑制する効果が期待できます。

ほかにも、面倒なフィルター掃除から解放する「フィルターお掃除ロボット」を搭載しているモデルや、屋外から新鮮な空気を取り込む「給気換気」機能を搭載しているモデルなども人気。エアコン内部や部屋を清潔に保ちながら、お手入れを最小限に抑えられるのが魅力です。

「霧ヶ峰」などが有名な三菱電機。最大の特徴は「ムーブアイ」が搭載されていること。人感センサーや温度センサーを使用し、部屋の温度を自動で快適に保つのが魅力です。寒い地域でも高い暖房力であたためる、寒冷地仕様の「ズバ暖」シリーズも発売されており、ラインナップが豊富な点もおすすめのメーカーです。

また、パネルなどが取り外せるモデルもあり、エアコン内部のメンテナンスを自分で簡単に行える点も大きな魅力です。

日立の「白くまくん」の最大の特徴は、熱交換器を加熱したあと一気に溶かして汚れを洗い流す「凍結洗浄除菌ヒートプラス」。油汚れやカビ菌などもしっかり浮かせて洗い流します。また、ファンを自動で掃除する「ファンお掃除ロボ」を搭載しているのも魅力。お手入れが面倒なエアコン内部を自動で清潔に保たれるのはありがたいですよね。

さらに、「くらしカメラAI」や「間取りサーチ」を搭載したモデルは、エアコンが部屋の状況、1人ひとりの在室時間などを把握して、気流のコントロール・風量・スイング幅を自動で調整します。

富士通ゼネラルから発売されている人気シリーズ、「nocria（ノクリア）」。このシリーズは学習して成長していくAIエアコンとして有名です。上位モデルは部屋の環境・温度の変化・操作の頻度と内容をAIが学習して分析し、使用者の好みに合わせます。また、学習データはクラウドに蓄積され、ブラッシュアップされていくのが特徴。

独自の気流制御を搭載し、温度ムラを検知して部屋を快適な空間に仕上げるのもポイント。さらに、スマホと連動して遠隔で操作できたり、スマートスピーカーから本体の操作が行えたりするのも魅力です。

空気清浄機能と、やさしい風の「無風感冷房」にこだわった東芝のエアコン、「大清快」。PM2.5よりも小さいPM0.1の除去効果が検証機関で確認されています。エアコン運転中の空気の汚れ・ニオイ・花粉などが気になる方におすすめの「プラズマ空清」機能も搭載しています。

上位のモデルには、センサーで感知した空気の状態を、本体のランプの色で教える機能も。また、お手入れの簡単さも魅力で、エコにもなるヒートポンプ技術を備えた商品もあります。東芝独自の「楽ダストボックス」機能は、フィルター掃除で出たゴミを、ダストボックスを外すことなく掃除機を使って取り除けます。

「プラズマクラスター」が有名なシャープ。最大の魅力は高い空気清浄機能。加えて、汗・ペット臭・料理臭・部屋干しのニオイを抑制する効果も期待できます。「プラズマクラスター」機能の単体運転が可能なので、エアコンを使わない季節にも空気清浄機として活躍。ニオイが気になるときや掃除後の仕上げに使用すると、舞い上がったカビ菌の抑制に役に立ちます。

また、「プラズマクラスター」はエアコンの内部のカビ抑制効果も期待できるので、「フィルター自動掃除」機能とあわせて使用すると効果的です。

エアコンを購入しても、設置できなければ意味がありません。家庭用エアコンを選ぶ際は、ここまで紹介した機能面に加えて以下に挙げるポイントも必ず確認しておきましょう。

家庭用エアコンを使う場合は30A以上の電気容量が必要です。自宅の電気契約容量はプレーカーを見るとわかります。エアコンを購入すると決めたらすぐ確認してください。

電気契約容量はブレーカーの色か数字で判断できますが、表記方法は電力会社によって異なります。ブレーカーを見ても分からない場合は、電力会社に問い合わせましょう。もし電気容量が足りない場合は、電気工事専門の業者に電気容量を上げる工事を依頼します。

エアコンを設置するには専用のコンセントが必要です。設置したい場所に専用コンセントがない場合は業者に工事を依頼しましょう。エアコンの電圧は、100Vタイプと200Vタイプがあります。一般的な電圧は100Vのため、200Vのエアコンを設置する場合は事前に電圧を確認してください。

エアコンの本体と室外機を設置する場所には、ある程度の余裕が必要です。目安として、本体は上下左右5cm程度、室外機は前方25cm、左右と背面5cm程度のスペースを空けておかなければなりません。

本体と室外機いずれも、ギリギリ置ける程度のスペースしかない場合、設置できなくなる場合があるので注意しましょう。

エアコンが効率よく働けば、電気代を抑えながら快適に過ごせます。そのためには、以下に挙げることを実行しましょう。

• 吹出口の下に家具等を置かない
• 運転前に部屋を換気する
• 暖房は風を下向きにし、直接体に浴びない
• 冷房は28℃に設定し、初めは強風で冷やす
• 扇風機やサーキュレーターを併用する

もし今使っているエアコンが古いものであれば、買い替えもおすすめです。エアコンは製造年が新しいものほど省エネで、効率もよくなっています。

業務用・家庭用どちらのエアコンにも「冷媒ガス」が入っています。冷媒ガスはエアコンが室内の気温を上げたり下げたりする際に使われるもので、エアコンによって採用されている冷媒ガスはそれぞれ異なります。そこで、冷媒ガスの種類と調べ方について確認しておきましょう。

冷媒ガスは主に3種類あり、エアコン冷媒番号が「R-22」の場合、現在のモデルに比べて電気代がかかっているので早めの買い替えがおすすめです。冷媒ガスの冷媒番号については、室外機の側面や室内機の底面に貼ってあるステッカーに記載されていることが多いので、確認してみましょう。

エアコンは、部屋の広さや部屋の用途に合わせて適切なものを選びましょう。部屋や用途に合わないエアコンは十分に効かないだけでなく、電気の無駄遣いにもなります。自宅に設置するのに適切なエアコンを効率よく働かせて、快適な毎日を送りましょう。