エアコンの設定温度を徹底解説｜環境省推奨温度・省エネに効果的な方法は？

エアコンの設定温度をなんとなく決めているけれど、暑すぎたり寒すぎたりする時はありませんか。室温は外気温や湿度、また部屋の環境によっても変わってくるため、自分が快適だと思う適切な設定温度を見つけるのは難しいですよね。

またエアコンは設定温度を1℃変えただけで、電気代が大きく変わってきます。そのためエアコンの正しい設定温度や使い方を理解しておかないと、電気代が一気に跳ね上がってしまう場合もあるのです。

そこで今回は、夏や冬を快適に過ごすための温度設定はどれくらいなのか、環境省推奨温度も交えてご紹介します。さらに「エアコン冷房・エアコン暖房の省エネに効果的なのは？」という疑問にお答えし、扇風機などを使ったエアコンの節電方法も解説するので、光熱費の出費が気になる方はぜひ参考にしてください。

快適と感じる室内の温度は、年齢や性別によって異なります。また湿度が少し上下しただけでも快適に感じる温度は変わるため、夏や冬は湿度にも気を配りましょう。

人が快適に過ごせる温度は、夏は25～28℃、冬は18～22℃とされています。ただし感じ方は人によって大きく異なり、また女性が快適に感じる温度は男性よりも3℃高いなどの違いもあります。

さらに歳を重ねるごとに基礎代謝量が低くなるため、年配の方ほど冷えを感じやすいです。

空気が乾燥していたり湿ってジメジメしていたりすると、たとえ適温でも不快に感じます。また同じ湿度でも、風が直接体にあたるかどうかで体感温度は大きく変わります。

そのため、快適に過ごすためには湿度にも気を配りましょう。最適な湿度とされるのは、夏は55～65%、冬は45～60%となっています。

環境省では、エアコンを使用する時の適切な室温設定を定めています。ただしこれは「エアコンの設定温度」ではなく「室温」の目安であり、温度計で室温の確認をするのがおすすめです。

家庭やオフィスでは、夏のエアコンは26℃くらいに設定しているケースが多いですが、夏の室温目安は28℃です。しかし必ずしも28℃を守るべきわけではありません。日当たりの環境や外気温の高さによっては、室温が28℃以上になるのも十分考えられます。

猛暑日などで28℃を保てない場合は、我慢せずに設定温度を下げるなど適度に調整を行いましょう。

冬の室温目安は20℃に設定されています。こちらも夏と同じようにまず20℃に設定しておき、状況に応じて室温を調整しましょう。また、この室温設定は不快感を抑え省エネで過ごせる室温となっています。

そのため実際に20℃で過ごすと、人によっては寒く感じます。不安を感じる方は、後述で紹介する節電方法を併用するといいです。

ここでは、エアコンの設定温度が28℃・26℃・18℃の場合で電気代がどれくらい違うのか、1人暮らし(10畳程度)と4人暮らし(14畳程度)のケースで電気代をそれぞれ比較します。

なお1ヶ月分のエアコンの電気代を算出するにあたり、以下のように条件を設定しています。

• 暖房運転
• 1kWh当たりの電気代は25円
• 1日8時間使用

まず1人暮らしの場合、28℃と18℃では1ヶ月あたり約1,140円の差があり、3ヶ月使用し続けた場合は約3,420円の差が生じます。1人暮らしでは家を空ける時間が多いと光熱費は安くなりますが、家にいる時間が多ければ当然光熱費は高くなります。

そして4人暮らしの場合は、28℃と18℃では1ヶ月あたり約3,840円の差があり、3ヶ月使用し続けた場合は約11,520円もの差が生じます。4人家族の光熱費の平均は1ヶ月あたり20,000円前後とされているので、この差額は家計に影響します。

差額が気になる場合は、温度設定以外にもエアコン以外の暖房器具の使用を検討したり、また後述で解説する節電方法を試してみてください。

エアコンの使用電気料は、設定温度を1℃調整するだけで大きく抑えられます。冷房と暖房を1℃調整した時の具体的な数値は以下の通りです。

• 冷房の温度を1℃高くすると約13%節約
• 暖房の温度を1℃低くすると約10%節約

たとえばエアコンの電気代が1ヶ月で10,000円かかっている場合は、1℃変えるだけで夏は1,300円、冬は1,000円の費用が浮きます。そのため可能であれば、温度を少しでも室温設定の目安に近づけましょう。

エアコンの電気代は、冷房よりも暖房を使っている時の方が高くなる傾向にあります。夏と冬では外気温との温度差が大きいからです。たとえば冷房を25℃に設定した場合、夏の外気温を高めに40℃と仮定しても、室内との温度差は15℃となります。

一方で暖房を25℃に設定した場合、冬の外気温を0℃とすると室内との温度差は25℃です。エアコンは外気温と室内との温度差が広がるほど消費電力も大きくなるため、その分電気代も高くなります。

エアコンは弱運転にすれば節電になると考える方もいますが、それは誤りです。なぜなら最初から弱運転を行うと、室温が設定温度に達するまでに時間がかかり、かえって電気代が高くなります。

エアコンが最も電力を消費するのは、稼働してから設定温度に至るまでです。よって自動運転を行い、室温をすぐに設定温度まで上げた方が節電になります。

エアコンを使いながらサーキュレーターや扇風機を運転させて、エアコンから出る風を部屋全体に効率よく送り込みます。冷たい空気は下に、暖かい空気は上に滞留しやすいので、サーキュレーターや扇風機を使い空気を循環させましょう。

また冷房使用時はエアコンに背を向けた状態で送風し、暖房使用時は天井に向かって送風するのが効果的です。サーキュレーターや扇風機との効果的な併用方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。

室外機の周りに植木鉢などのものを置いていると、暖房の効率が落ちてしまう原因になります。そのため暖房を使用する際は、室外機の周りに置いているものを片付けましょう。

また雪の多い地域では室外機の内部に雪が入ってしまわないように、防雪フード・防雪ネットなどを設置して対策をしましょう。

冷たい空気は下の方に溜まる傾向があるので、夏はエアコンの風向きを水平にしておくのがおすすめです。水平にすれば、天井から冷たい空気が降り注ぐため、部屋全体の温度のムラを軽減できます。

ただし、中にはセンサーで人を感知し風向きをコントロールする機種もあります。その場合は自動コントロールモードに設定しましょう。

ちょっとした外出の際にエアコンをつけたままにするか、いったん電源を切るか、迷う人は少なくありません。誰もいないのにエアコンをつけておくのに抵抗がある人もいます。

エアコンは室内温度が設定温度とかけ離れると、その差を埋めるために「強運転」となり多くの電力を使います。特に猛暑日は外気温の影響を受けやすく、短時間でも室内温度が上がります。そのため30分程度の外出であれば、つけっぱなしにしておく方がお得です。

真夏に窓を閉め切って出かけると室内に熱気がこもり、温度が高すぎるときは一度窓を開けて熱気を外に逃がしましょう。温度高いままエアコンを使用すると、設定温度まで室温を下げるのにパワーを使い、電気代がかさんでしまいます。まずは熱気を外に逃がすようにしましょう。

湿度が高いと余計に暑さを感じる方も多いと思いますが、湿度が15%低下すれば体感温度は1℃下がります。そこでエアコンの除湿機能を利用し、体感湿度を下げる方法があります。ただし機種によっては、除湿機能を使用すると電気代が高くなるケースがあります。

除湿機能を使う場合は、詳細をメーカーに問い合わせるなど確認しておきましょう。

冷たい空気は下に溜まりますが、温かい空気は上がっていく性質があります。そのため、温かい空気が床に届くように下向きに風向き設定するのをおすすめします。

特に冬場は足先が冷える人も多いので、きちんと足元に温風が届くように風速を強めに設定し、部屋全体を温めましょう。

部屋の中を暖めても、ガラスの窓があると暖かさの半分ほどが逃げてしまいます。さらに窓の隙間から冷気が侵入してくるのも考えられるため、余計に暖房効率の低下に繋がるのです。

そこで断熱シートを使い窓を覆えば、熱が外へ逃げにくくなります。断熱シートはホームセンターで購入できます。

カーテンを閉めれば暖かい空気を外へ逃がしませんが、窓ガラス部分だけを覆い上部や下部に隙間がある状態では不十分です。そのため、カーテンの丈を長くし天井から床まできっちりと設置すれば、より保温性を向上させられます。

また暖色系のカーテンを選べば、体感温度を上げる効果があります。

冬は湿度が低く、暖房をつけるとより乾燥します。しかし湿度が10％下がると、体感温度は1℃程も下がると言われているため、暖房効果を無駄にしないためにも、加湿器などで湿度をなるべく高く保つように心がけましょう。

エアコンにはいくつかの温度センサーが搭載されていますが、金属でできているためエアコン内の水分で錆びます。温度センサーが錆びて故障すると接触不良が生じ、適切な温度調整を行えません。またエアコンの手入れをする時に、誤って水を温度センサーにかけると故障します。

温度センサーが故障した場合、自分で修理が可能です。まずメーカー名や製品名を確認し家電量販店に問い合わせ、部品を取り寄せます。そして取扱説明書で部品の位置を確認しながら、少しずつばらすようにして温度センサーを交換します。

自分で温度センサーを交換できればコスト削減になりますが、自分で故障などの判断をする自信がない場合は業者に依頼しましょう。以下の記事では、エアコン修理について詳しく解説しています。

フィルターが汚れると空気が循環しづらくなり、その分消費電力が大きくなります。またフィルターの汚れがそのままエアコンから吹き出してしまうため、こまめに手入れを行いましょう。

フィルターの掃除は、取り外してホコリを掃除機で吸い取るだけでも十分に効果があります。フィルターは汚れやすいため、月に1～2回の頻度で手入れをすると安心です。

エアコン内にゴミやカビが溜まると、熱交換機・送風ファンなどの性能を悪化させるため、定期的に掃除をする必要があります。業者に掃除を依頼すると20,000円ほどかかる場合もありますが、エアコン掃除スプレーを使えば自分で掃除できます。

ただしエアコン内部は複雑な構造なので、専門知識のない方が掃除をすると破損させる可能性があります。自分で掃除するのが不安な方は、費用を見積もってプロの業者に依頼しましょう。

室外機は温度変化により生じた熱を逃がす役割があるため、エアコン本体だけでなく室外機の手入れも重要です。室外機の手入れは、まずほうきや小さなブラシなどでホコリ・枯葉を取り除きます。

次に、室外機の裏側にあるフィンの汚れを掃除機で吸い取ります。もし掃除に手間や時間をかけたくないのなら、エアコン本体と同様に業者へ依頼しましょう。また室外機を効率よく稼働させるため、周りにものを置かないようにする必要があります。

リモコンをエアコン本体に向けていない状態で、温度調整や運転切り替えなどを誤って操作してしまいませんか？この時、リモコンの表示温度とエアコン本体の温度は一致しているのか気になりますよね。

実際はどうなっているのかといえば、多くの機種では「最後にエアコン本体がピッと鳴った時点でのリモコンの状態」が反映されています。その後リモコンを操作して本体がピッと鳴ると、その時点のリモコンの状態が本体に伝わるため、ズレがあったとしても解消されます。

エアコンには目安となる適切な設定温度がありますが、厳しい暑さや寒さの日は無理をせずに設定温度を調整しましょう。また推奨されている温度を参考にしながらも、空気の循環や節電についても工夫し、自分が快適に過ごせる設定温度を見つけてください。