エアコンの風が冷えない原因は？　対処法を学んで夏に備える

じりじりと暑い季節。日本の夏においてエアコンはなくてはならない存在となりました。昨今においてはエアコンがない、または冷えないというのはもはや死活問題にまで発展しています。自宅や職場のエアコンが夏真っ盛りで冷えなくなってしまったらどうすれば良いのか、またそのような状況になりにくい機種はあるのでしょうか？まずはエアコンが冷えなくなってしまう原因について学んでいきましょう。

エアコンが冷えにくくなってしまう原因のうち、最も多い事例が内部の汚れです。エアコンは室内機、室外機とともに空気の取り込みと排出を行う構造上、ホコリなどの微細なゴミが内部に蓄積しやすくなっています。

そのため毎日短くない時間稼働し続ける夏場は、特に汚れやゴミが溜まってしまい空気の流れを阻害してしまうことが多いのです。また内部においては湿気などがたまりやすいこともあり、カビなどが発生しているケースも考えられます。

エアコンは言わずと知れた精密機器です。たとえ掃除をして空気の通り道ができたとしても、冷えにくいままであった場合は故障している可能性があります。故障してしまった場合には様々なケースが存在するため、業者に依頼する他ないでしょう。もしも夏場に故障してしまうと同じような事例で業者も繁忙期となっているため、その日中に修理とはいかずに蒸し暑い夜を耐えなくてはならないかもしれません。

エアコンの故障事例でよく挙げられるケースが冷媒ガスの漏れです。冷媒ガスとはエアコンの室内機と室外機の間を常に循環しているガスで、大気中の熱を運んで空気を冷やすまたは温める熱交換器の役割を担っています。

このガスが配管の亀裂や設置ミスなどで漏れてしまうといくら設定温度を下げてもぬるい風しか出ないなど、エアコンの機能が損なわれてしまうのです。

もしも冷媒ガスが漏れているのであれば、いくら掃除をしても冷えた空気が排出されることはないため、専門業者へ依頼をする必要があります。また冷媒ガス自体は市販もされていますが、エアコンの機種や使用によって細かく種類が分かれている他、交換作業には専門知識も必要なためセルフでの交換はあまりおすすめできません。

エアコンの冷えない原因が汚れでも故障でもない場合、それはエアコンの性能と部屋の間取りがあっていないのかもしれません。エアコンは通常モデルによって出力が異なっており、それぞれ「〜畳用」と明確に記載がなされています。

そのため想定されている間取りよりも大きな部屋の場合は、エアコンをフル稼働させても冷えにくくなってしまいます。またたとえ部屋が涼しくなっていても、常時フル稼働状態を保つためには相応の電力が必要なため、電気代が多くかかってしまう可能性もあります。

前述でも触れている通り、エアコンはあくまで冷媒による熱交換を利用して部屋を冷やしています。そのためいくらエアコンが正常に運転できていても、外部からの熱を取り込んでしまう部屋など環境的な問題がある場合は冷えにくくなってしまいます。

このような原因は引っ越すなど環境そのものを変える必要があり、アパートの最上階など常に日光に晒されてしまう部屋においての根本的な問題となっています。

前述でも触れている通り、エアコンが冷えにくくなる原因の多くは内部の汚れによるものです。冷えにくいからといってすぐ業者に依頼するのではなく、できる範囲で掃除をしてみましょう。一度慣れてしまえば今後も役に立つはずです。ここからはそんなエアコン清掃をする際のポイントを紹介していきます。

エアコンを掃除する際に真っ先に確認すべき場所はフィルターです。室内機のカバーを外すと、大半の汚れはフィルターに付着しています。この部分にびっしりとホコリなどが溜まっていると、空気の流れが阻害されてしまいエアコンが冷えにくくなる原因となってしまいます。

専門業者でなくともわかりやすいポイントのため、掃除をしない時でも時々フィルターをチェックして、汚れのたまり具合を確認しておくことをおすすめします。

エアコンのフィルターに付着した汚れは濡らしたタオルなどで拭き取るか、掃除機などで吸い取ってしまうのが一般的です。しかしそれらの方法ではホコリが舞ってしまうため、衛生的に不安に思ってしまう方も多いでしょう。

そんな方におすすめなのが水洗いです。エアコンのフィルターは水洗いが可能となっているため、流水で簡単に汚れを洗い流すことができます。なお水洗いをする際はフィルターの裏側から水を当てるときれいに汚れを落とすことができます。

エアコンの内部はフィルター以外でも汚れがたまりやすい構造となっています。特に気をつけたいのがフィルターを外した際に露出するフィンの部分です。

フィンは取り込んだ空気の温度を変える部分となっており、結露などで湿気が篭りやすく溜まった埃を温床としてカビが発生しやすくなっています。フィンに多くの汚れが付着してしまうとエアコンの効きも悪くなってしまうため、フィルター同様に清掃が必要となります。

エアコンのフィンを清掃する場合は、カバーやフィルターなどを全て取り外す必要があります。フィルターの掃除はこの時に行なっておくと効率的です。フィンを露出させたら掃除機などで汚れを吸い取り、その爪楊枝や綿棒などを使って細かい部分の汚れを落とします。

最後に市販のエアコン洗浄剤を全体に行き渡るように吹きかけます。洗浄剤はエアコンの排水機構に沿って排出されます。洗浄剤が流れ落ちたらパーツを元に戻して送風運転を行い内部を乾かして清掃完了です。

これらの工程を行うだけで劇的に冷えやすくなる場合もあるため、夏本番になる前に一度試しておくことをおすすめします。以下の記事でもフィルター掃除の詳しい方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

エアコンで空気が冷えない場合は室外機もチェックすることをおすすめします。エアコンの室外機は室内機よりも大量の空気を吸い込み排出する役割を担っており、野外にあることも相まって汚れがたまりやすい場所となっています。そのため定期的に拭き掃除や室内機同様に細かい汚れを落としておくことで、不調を起こしにくくすることができます。

近年ではガス漏れ検査グッズなども販売されていますが、それらをわざわざ購入しなくても冷房運転を行うことによってガス漏れかどうかを判断することができます。まずは通常通りエアコンを冷房運転で使用して室外機と室内機の間の配管を確認します。

この際に水滴がついていればガス漏れではなく、霜がついている場合はガスが漏れていると判断できます。ガスが漏れてしまう原因は取り付けミスや経年劣化など様々です。まずは夏本番前に一度試してみることをおすすめします。

フィルターやフィンを掃除してガス漏れがないことを確認してもエアコンが冷えない場合は、そのほかの電子機器が故障していることが考えられます。この場合もやはり一度専門業者に依頼して確認してもらう他ないでしょう。しかしそれはあくまで最終手段であり、まずはここまで紹介した様々なアプローチで改善を図ってみてください。

ここまで紹介してきたエアコンが効きにくくなってしまう原因は、主に経年による不具合や故障によるものです。しかし場合によってはそれらとは関係ない理由から、エアコンが効きにくくなってしまうことがあります。ここからはそんな見落としがちなポイントにフォーカスを当てていきます。

汚れや故障などの他にチェックしておきたいポイント、それは室外機の配置です。エアコンにおいて重要なポイントとなる室外機は、その配置が原因で部屋が冷えにくくなってしまうことがあり、特にマンションやアパートではそれらが原因の不調が多くなっているようです。

室外機は常に野外に設置されているため、配置によっては直射日光を長時間浴び続けることになってしまいます。特に夏場の強い日差しを浴び続けると室外機の温度が上昇してしまい、電力効率の低下などを招いてしまいます。

そのため室外機を設置する際は、直射日光が当たりにくい位置を選ぶ必要があるのです。また賃貸物件などで室外機の位置を動かせない場合は、室外機用のカバーなどを取り付けるなどして室外機の温度が上昇しすぎないように工夫してみることおすすめします。

エアコンの室外機は冷房運転の際裏面のフィンから空気を吸い込み、表面のファンから暑い空気を排出します。そのためベランダなどに室外機を設置している場合、向きによって排出された空気がベランダに篭ってしまいます。その暖まった空気をまたフィンが吸い込んでしまうという悪循環にもなりかねないため、極力室外機付近には物を置かずに通気性をよくしておくことをおすすめします。

エアコンは現代人にとってなくてはならない存在です。今回紹介したトリビアや便利アイテムを駆使すれば、冷えにくくなってしまったエアコンを本来の性能に戻すこともできるかもしれません。たとえ面倒であっても正しい知識を身につけておけば厳しい夏も快適に乗り切ることができるでしょう。