車のエアコンコンデンサーとは？仕組みを解説｜交換費用・修理費用や洗浄方法も

車用のエアコン（クーラー）のコンデンサーとは、車内の熱を車外に放出する「熱交換機」を指し、エアコンの冷却システムの中でも重要な役割を果たすパーツです。コンデンサーの場所は、車体のフロント部分に位置しています。

車のエアコンの効きが悪くコンデンサーの不具合が原因かもしれないと思った時に、どのように対処したらいいかわからない方は多いですよね。そもそもエアコンの仕組みをよく知らない方も多いものです。しかし、わからないといって不具合をそのままにしてしまうと、オーバーヒートなどのトラブルを引き起こす可能性があります。

本記事では、エアコンの仕組みや、コンデンサーに不具合があった場合に何が原因なのか、自分で対処できる方法はあるのかなどを解説します。コンデンサーが故障して交換が必要になった場合の費用の目安もご紹介します。車のコンデンサーの不具合にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

水が蒸発して水蒸気になるように、液体が気体に変化する時は周囲の熱を多量に奪います。逆に、気体から液体に変化する時は熱を周囲に発しますが、これは潜熱と呼ばれる現象です。エアコンはこの潜熱の仕組みを利用して、車内(室内)の熱を外に放出して冷却を行っています。

エアコンにおいて熱を移動させる物質を冷媒といいます。エアコンには冷媒の状態変化の際に起こる潜熱によって温度を変化させるための「圧縮器」・「減圧器」や、冷媒と空気の間で熱を交換するための「熱交換器」といった機構が入っています。

車用のコンデンサーは、家庭用エアコンでいうと室外機にあたるものです。家庭用エアコンの通称に置き換えると、車用のエアコンのパーツの名称について理解しやすくなりますので、以下の表を確認してください。

コンデンサーとはカーエアコンにおける車外側の熱交換器を指し、カーエアコンの冷却システムにおいて車内から奪った余分な熱を車外へと放出する役割を担っています。ラジエーターと共通した金属の板が並んだ設計で、重ねて配置されている場合も多いです。しかし、内部に入っているものがラジエーターは冷却水・コンデンサーは冷媒といった違いがあります。

カーエアコンの仕組みは以下のようになっています。

1. コンプレッサーにより冷媒が圧縮され、半液体の状態でコンデンサーに入る
2. 冷媒はファンの風で冷却され液化しながらレシーバーへ送られる
3. 冷媒を液冷媒と分離し乾燥剤やストレーナで水分・不純物を取り除く
4. 液冷媒はバルブの微小な穴からエバポレーター内へ噴射され気化する
5. 気化した冷媒は熱を奪いエバポレータが冷やされ、ブロワファンの風で冷風が起こる
6. 車内の空気中の水分はエバポレーター表面で水滴となり車外へ放出され除湿がなされる
7. 冷媒がまたコンプレッサーに戻り再び圧縮される

車内の熱を車外へと放熱する役割を持つコンデンサーですが、性能が低下すると車内が涼しくならずエアコンの効きが悪くなったと感じるようになります。コンデンサーの位置は、ボンネットを開けた時に最も前側(バンパー側)にありますよ。

カーエアコンのコンデンサーの性能低下の原因として、最も可能性が高いのがフィンの目詰まりです。車の走行によってゴミや虫がフィンの隙間に目詰まりする場合が多く、また、汚れも蓄積しやすい箇所です。

このような状態のまま放置しているとフィンの隙間を通過する空気の流れが妨げられ、十分な放熱ができません。

カーエアコンの不調の原因は、エアコンガス不足・システムのガス漏れにより、エアコンのスイッチを入れても作動していない場合もあります。ガス不足は使い続けていくうちに目減りする、ガス漏れは腐食によってアルミに穴が開いて起きる場合もあり、どちらも経年劣化で起きる可能性が高いです。

カーエアコンの不調はさまざまな原因が複合している場合が多いです。上記以外の原因として考えられるのは、コンデンサーパッキンのスポンジが劣化やファンの汚れ・埃の蓄積・モーターの不具合などにより回転力が落ちているためです。

洗浄の方法は水道水を用いた水洗いです。これだけでもコンデンサーのフィンの汚れをある程度落とせますが、ブラシや洗浄剤などのアイテムと組み合わせると、より高い効果が期待できます。

ホースの使用がおすすめで、ある程度の強さの水流で洗浄すると目詰まりをいくらか解消でき、フィンの腐食を防げます。ただし、高圧洗浄機の使用や近距離から勢いよく水を噴射するとフィンが変形する可能性があるので注意してください。

コンデンサーの目詰まりには、ナイロンブラシのようなものを用いると隙間を掻き出せて便利です。しかし、ブラシを使う際にも強く擦るとフィンが変形する可能性があるので注意しましょう。

古くなった歯ブラシでも十分で、毛先が固いものは表面にこびりついたゴミを取り除くのに向いています。上記と同様に隙間に詰まったゴミをとるために強く押しあて過ぎないように注意してください。

エアコン洗浄剤をコンデンサー全体に使用すると、汚れを落とすだけでなくカーエアコンの性能の回復が期待できます。洗浄剤は家庭用のエアコン洗浄剤で十分で、使用方法も同様です。洗浄剤が残らないように水でしっかり洗い流しましょう。

フロントグリルを外せる方は、洗浄のついでにスポンジを新しいものに交換するのをおすすめします。ホームセンターで売っているスポンジシートや家庭用の隙間スポンジをコンデンサーの形状に合わせてカットして使用します。劣化してボロボロになったスポンジは取り除き、洗浄後によく乾かしてから新しいスポンジを貼りましょう。

自分で洗浄してもエアコンが効かない時には、プロに洗浄を依頼するのがおすすめです。掃除をしてもエアコンの効きが悪い場合、ガス不足やフィルターの詰まりといった状態が原因となっている場合もあります。

エアコンが故障している場合のパーツ交換には専門的な技術が必要なので、修理業者に相談した方がスムーズに対処可能です。日頃の掃除やメンテナンスは大切ですが、本格的なケアは修理業者に依頼しましょう。

エアコンのコンデンサーが不調の際に、自分の手に負えずに修理や交換を依頼する必要がある場合もあります。ここでは、修理・交換にかかる費用はどのくらいか、そもそもどこに車を持って行けばいいのかについて解説します。

カーエアコンのコンデンサーの修理内容は、基本的にはコンデンサーの交換です。それ以外の場合ではクリーニングになります。

いずれにしてもコンデンサーの着脱が必要で、ディーラーや修理工場ではこれだけでも1万円前後かかるところが多いです。クリーニングの場合は、この着脱の費用に洗浄代を加えて2万円前後の費用が相場となっています。

カーエアコンのコンデンサーの交換修理は、「新しいコンデンサーの費用＋工賃」で、コンデンサーの取り付けに必要な部品も新品にしなければならない場合にはその費用も加わります。

この費用については、3万円以内の出費で済むケースもあれば、7万円近く費用がかかるケースもあり、一概には断定できません。車の車種やコンデンサーそのものの価格、コンデンサーに付随する部品交換の有無など、条件によって金額が左右します。

車用のエアコンのコンデンサーの修理は、ディーラーを介さずに直接エアコンの修理業者に依頼するのがおすすめです。ディーラーも修理業者に外注するケースが多いので、その分仲介手数料としての費用が上乗せされて価格が高くなります。

また、お使いの車に対応するコンデンサーが分かっている場合には、自分で安く仕入れたコンデンサーを修理工場に持っていき、工賃だけ支払う方法もありますが、事前に業者に相談する方がトラブルなく済みます。さらに、廃車から取り出した使用可能な部品「リビルド品」の使用も、コンデンサーの価格を安く抑える方法の1つです。

車用のコンデンサーの仕組みや不具合の原因・修理や交換について解説しましたがいかがでしたか？コンデンサーの不具合は早めに対処しないと、夏場に車内でクーラが使えない場合は命に関わる危険性もあります。紹介した知識を活かしてトラブルを解消しましょう。